食品 記事一覧

2010年02月12日

カルピスのトクホ「アミール」の血圧低減効果、ヨーロッパでは認められず

 エコナ問題をきっかけとなり消費者庁で健康食品の表示に関する検討会が開催中だ。関係団体からのヒアリングを終え、ようやく中身の議論が始まった4回目の会議では、アメリカとヨーロッパの海外事例が報告された。基本的にメーカーに自由な表示認めているアメリカに対して、EUでは食品のヘルスクレーム(健康強調表示)を公的機関として審査して許可する制度を開始している。4000種類以上の表示について審査中で、随時結果が公表中だが、現在ところ申請の7割が却下されている。その中には日本ではトクホとして認められている成分も含まれていることが分かった。検討会ではヨーロッパの表示制度を参考にという意見が強かったが、だとすればすでに許可されているトクホを含めて抜本的な見直しが必要になるだろう。


食品への健康強調表示4000種類を審査中のEU
日本のトクホでも却下された例も
トクホ許可後の大規模試験で効果なし
医薬品より効果があるように宣伝
市販後の追跡調査の必要性
最初期のトクホは審査が甘かった?
トクホを含めた健康食品は本当に国民に役立っているかの検証を

 花王のエコナ問題をきっかけに健康食品の制度に関する検討会が消費者庁で行なわれている(図1検討会の写真)。トクホを含めた健康食品の安全性の検証のあり方が主な議題のはずだったが、はじまってみると効能を含めた表示規制の是非が主な議題となっている。自由化を進めて効能表示も進めるべきという意見と、規制を強化すべきという意見が出ている状態が続いている。

食品への健康強調表示4000種類を審査中のEU
 2月4日に開かれた4回目の検討会では、アメリカとEU(欧州連合)の例が紹介された。注目されたのが、EUが現在進めている食品への健康強調表示(ヘルスクレーム)の規制だ。EUでは食品や食品に含まれる成分の効能にかんして科学的根拠を評価して公的機関が表示を許可するという制度を導入しようとしている。許可された表示は、サプリメントにかかわらず食品全体に表示しても良いという仕組みだ。
 
(一方アメリカでは、ダイエタリーサプリメントという制度が、基本的にサプリメントメーカーが自由に効能を表示してよいという制度になっている。自由の国にふさわしく、メーカー団体が国を訴えて勝訴し表示できる範囲を広げてきた経過がある。極端なところまで行き着いた状態で、ほとんど証拠が無いような効能でも、「国は表示を支持する科学的根拠はほとんどないと結論づけた」という但し書きをつければ表示できる。こうした表示が消費者はもちろんのことメーカーにとってもプラスになるのかはなはだ疑問なのだが・・・)

EUの健康強調表示の内容は4種類に分けられており
1)「一般に認められた科学的根拠にも続く表示」
2)「新規な科学的証拠に基づく表示」
3)「疾病リスクの低減に関する表示」(ガンなど病気になるリスクが減るという表示)
4)「子どもの発達及び健康に関する表示」(子どもの骨の成長に効果があるなど、他の効能が大人対象なのに対して子どもへの効能に特化した表示)。
 2)~4)の表示に関してはメーカーが提出したデータをもとに個別に評価され許可される仕組みなのに対して、(1)の「一般に認められた科学的評価」は、許可リストに収載されるとそれ以降は市販前の届出は必要なく自由に表示できることになる。その分科学的根拠のハードルは高そうだ。4000件以上の表示案の申請がされており、逐次評価結果が公表されている最中だ。現在のところ94件の評価結果が発表されているが、許可された例は29件と30%程度に過ぎない。その多くはビタミンやミネラルなどすでに食品の栄養素として働きが分かっているものが大半だ(図2)。一方却下された65件の成分の中には、日本でもトクホへの申請を却下されたヒアルロン酸や、他にもグルコサミン、サメ軟骨など日本でも盛んに販売されている健康食品の成分も含まれている。これらの成分は日本でも効能の表示は認められていない。ただ使用者の体験談など、あいまいな表示で販売されている。
 

続きを読む "カルピスのトクホ「アミール」の血圧低減効果、ヨーロッパでは認められず" »

2010年01月01日

飲むヒアルロン酸に効果なし

 「40代からはじまる『乾き世代』。必要なのはうるおいを溜めるチカラ。ヒアルロン酸を食べて補う」
マヨネーズで有名なキューピーが販売しているヒアルロン酸サプリメントの宣伝文句だ。ヒアルロン酸は、乾燥肌がみずみずしくなるなどの美肌効果があるとしてコラーゲンと並び美容系サプリのナンバー2の人気商品。最近ではひざ関節への効能も加わり高齢者の間でも人気がでてきている。
しかし飲んだヒアルロン酸は本当に皮膚や関節に届き効果をだしているのだろうか?
 キューピーが2003年に「ヒアロモイスチャーS」という商品に「お肌の乾燥が気になる方へ」という表示を求めて特定保健用食品(トクホ)の申請を行なったが、2008年11月に不許可になってしまった。審議を行なった厚生労働省の調査会の議事録には、以下のような記述が残されている。
「体内動態が不明確であること、有効性が認められないこと、健康の維持増進に寄与することが期待できそうにないこと等の指摘がなされ、特定保健用食品として認められないこととされた」
 調査会でどのような審議がなされたのか、委員であった城西大学薬学部の和田政裕教授に話を聞いた。
「口から摂取したヒアルロン酸が体内に吸収されて皮膚まで届くということが証明できていないことが不許可になった大きな要因です。メーカーは効果があるというデータも出してきましたが、解釈の仕方によっては確実に効いているとは言えない内容でした。現在の所生物学的にはヒアルロン酸のような高分子のものが吸収されて皮膚まで到達することはありえないと考えられています。その点が証明されない限り許可はおりません。作用メカニズムが不明なものを許可してしまうと何が効いているか分からなくなりますから」
 ヒアルロン酸サプリの中には体に吸収されやすいように低分子化したと宣伝する商品も多い。和田教授は、「低分子にすれば皮膚に届くということが科学的に証明されるのであればトクホに認められるので申請すべきだと思いますね」と話す。
同様の問題点は安全性の評価を行なった食品安全委員会の調査会の審議でも指摘されていた。調査会の委員であった日本大学医学部の松井輝明医師は言う。

続きを読む "飲むヒアルロン酸に効果なし " »

2009年11月04日

「効果が無い」と国が認めた健康食品はどうなる?

マヨネーズでおなじみのキューピーが販売する「ヒアロモイスチャー」。飲むヒアルロン酸のサプリで乾燥した肌が潤うという効能のサプリメントだ。2003年にトクホの申請をしていたが、2008年12月に有効性が認められないとして不許可となっていた。しかしキューピーは自社の通販サイトで相変わらず販売を続けている。国が「効果が無い」とお墨付きを与えた健康食品。それを売り続けることに問題は無いのだろうか、取材してみた。

◇ヒアルロン酸サプリの中で、唯一トクホ申請をしたキューピー
◇食安委「肝臓疾患の人は、ヒアルロン酸の血中濃度が1000倍だが肌は潤わない」
◇メーカー「トクホはダメでも、肌への効果のデータはございます」
◇東京都「肌への効果を言っていると言えるのか…時間を下さい」

◇ヒアルロン酸サプリの中で、唯一トクホ申請したキューピー
 肌がプルプルになるなどの効能で、コラーゲンと並び、美容サプリの上位を占めるヒアルロン酸。ドラッグストアやテレビの通販番組、新聞広告などでも、さまざまなメーカーがヒアルロン酸サプリを宣伝、販売しているのはご存知のとおりだ。

 ただ、どの商品も、実は一般食品扱い。効能表示が認められたトクホ(特定保健用食品)のマークのついたものなど、一品もない。つまり、ヒアルロン酸を飲んで、本当に肌がプルプルになるという確たる証拠はない。

 そうしたインチキのヒアルロン酸サプリが横行するなかで、マヨネーズでおなじみのキューピーは2003年、トクホの申請を行なった。「ヒアロモイスチャーS」という商品だ。

続きを読む "「効果が無い」と国が認めた健康食品はどうなる? " »

2009年09月27日

花王の健康エコナ販売自粛も、期待はずれの消費者庁トクホ取り消しできず

ようやく花王がエコナの一時的販売自粛・出荷停止を発表した。紙面でも何度か取り上げてきているので読者の方には驚きは少ないだろうが、一般には、健康が売り物のトクホのイメージと「発がん」とのあまりのギャップにショックを受けた人も多く、花王や消費者庁への問い合わせは殺到しているという。

 エコナとは「体に脂肪がつきにくい」という効能を国が認めて特定保健用食品(トクホ)として販売されている食用油だ。エコナの安全性の問題は実は2つある。一つは主成分であるジアシルグリセロールに発がん促進作用の疑いがあるという点。

2003年にエコナマヨネーズタイプの審議の時に問題になったが、一応許可をあたえ念のため動物実験を行うという処理がされた。その後05年にその念のための確認実験で、舌ガン促進の疑いが示唆されたため、食品安全委員会の専門調査会で審議が開始された。さらに追加の動物実験に時間がかかり、今年ようやく審議が再開されたが、実験結果の解釈をめぐり、委員の間で意見が分かれ、紛糾している状態だ。

続きを読む "花王の健康エコナ販売自粛も、期待はずれの消費者庁トクホ取り消しできず " »

2009年03月12日

クローン家畜は食品として安全か?

体細胞クローン家畜とは何か?
成功率は10%以下で、死産率、出産直後の死亡率が高い
市場化進めるアメリカ、慎重なEU

 妊娠中に9割が死亡し、死産や生後直後の死亡率は普通の牛の5倍も多い。しかし200日以上生き残った牛は、その後健常に育つ。その肉は普通の牛に比べても栄養成分などは同等だから安全。
 食品安全委員会の作業部会が、2009年1月6日、体細胞クローン技術を用いた牛および豚ならびにその後代(子孫のこと)の食品の評価案をまとめた要旨だ。

あなたは、そのように説明されて体細胞クローンの牛肉を食べたいと思うだろうか?

 体細胞クローン家畜とは何か?
 世界ではじめて体細胞を使ったクローン動物の誕生に成功したのが1997年にイギリスで生まれた羊「ドリー」だ。日本ではその2年後に石川畜産総合センターで、世界ではじめての体細胞クローン牛が生産された。その後クローン家畜の普及は進み、国内では、独立行政法人や都道府県の畜産試験場、大学などの46の研究機関が試験用に生産している。2008年9月末段階では、牛では557頭が誕生している。ちなみに豚は、8機関で335頭が生まれている。

 そもそも、体細胞クローン家畜とはどのようなものなのだろうか?

 クローン技術とは、同じ遺伝子を持った動物をコピーして大量に生み出す技術だ。

 クローン技術には、受精卵クローンと体細胞クローンの2種類がある。受精卵クローンとは、雄牛の精子と雌牛の卵子を受精させた胚を利用したもの。胚がある程度分裂した段階で、それぞれの細胞をバラバラにして、別の未受精卵移植してクローンを作る。

子どもは父親と母親の遺伝子を半分ずつ受け継いでいるのは従来の繁殖法と同じだが、同じ受精卵から生まれた兄弟はすべて同一の遺伝子を持っている。一卵性双生児を人工的に作り出すといった感じだ。細胞分裂がある程度進んだ胚ではクローンは生成できないため、産出できるクローンの数には限界がある。受精卵クローンは、すでに実用化されている。

 これから食用に許可されようとしている体細胞クローン技術とは、皮膚や筋肉などの体の一部の細胞を使って、親とまったく同じ遺伝子をもった子どもを作る技術のこと。数に限りがある受精卵のクローンと違い、体細胞を使うことで、技術的には無数にクローンを作ることが可能となる。

 体細胞クローン技術で家畜を生産することにどのような意味があるのだろうか?

 食料の問題に関しては、肉質が良いとか乳量が多いといった優れた性質をもった牛を、大量に生産できる可能性が広がる点が指摘されている。

 食品安全委員会の評価書案が出された3日後の2009年1月9日に、朝日新聞の記事では、近畿大学と岐阜県畜産研究所の共同研究で93年9月に老衰で死亡した飛騨牛ブランドの元祖の種雄牛「安福号」の冷凍保存されていた体細胞から、クローン牛の誕生に成功したと報じられた。

 安福号という種牛は、当時後発ブランドだった飛騨牛を全国有数のブランドに押し上げた功労者。さしの入り方が優れており、人工授精用に安福号の精子は高値で取引され、その経済効果は岐阜県だけで100億円以上になったと言われている。現在では、飛騨牛にとどまらず全国の代表的な和牛の品種である黒毛和種の牛68万頭のうち、3割は安福の血を引いていると指摘されている。

 冷凍保存されていた精巣細胞を利用してクローン牛をつくることで、技術上無数に安福号と同じ遺伝子を持った牛を作ることができる。

 ただ、岐阜県畜産研究所では、現在の段階では、安福クローン牛を種牛として食肉生産することは計画していないという。

 食用利用のほかにも、絶滅の危険性のある希少動物の保護や再生に利用できる可能性が指摘されている。また死亡後冷凍保存されている体細胞からクローンの生産に成功したことで、マンモスなどすでに絶滅した動物の復活の可能性なども指摘されている。
 
 食品安全委員会の評価書では、体細胞クローン技術は、人工授精や体外受精、受精卵クローンなどの従来の繁殖技術の延長線上にでてきた技術だと位置づけている。

 しかし、従来の生殖技術と決定的に違う点がある。それは精子と卵子による受精というプロセスを経ないで生命を誕生させるという点だ。哺乳類動物の場合、自然界では決して起こらないことなのだ。

 体細胞を使ったクローンには技術的な問題も残っている。

 牛や豚など哺乳動物の体を構成する細胞は、筋肉や脂肪、脳や皮膚細胞など200種類に分類される。それぞれの細胞は同じ遺伝子を持っているが、それぞれの組織では必要な遺伝子だけが働くように調整されている。その調整が適切に行なわれることで、一個の細胞である受精卵から分裂して体の各組織が作られていき、まさに目は目に、歯は歯になるわけだ。目の細胞の中には歯の細胞になるための遺伝子は含まれるが決して働きを起こすことはない。

 いったん分化した体細胞を、胚細胞として使うためには、そうした遺伝子の調整をリセットして初期化するプロセスが必要となるがその技術はまだ完全にはできていない。

 体細胞クローン動物に死産や異常が多い原因のひとつには、この初期化の不完全さが指摘されているわけだ。

成功率は10%以下で、死産率、出産直後の死亡率が高い
 具体的にはどのくらいの成功率なのかというと、仮親へ体細胞を移植した胚から、無事に子牛が生まれてくる割合は9%程度だという。豚の場合5%程度という報告もある。

 多くは、親のおなかの中で、途中まで育った段階で死んでしまう。無事出産してもその直後の死亡率も高い。また、腎臓や後肢などの奇形を伴った牛も報告されている。また外見上問題がなくても生後6ヶ月くらいまでは、死亡率が高い。

 これらの問題点は、安全性評価書でも指摘されている。

 しかし牛の場合200日を越えると死亡率は通常の牛と同じ程度になる。つまりそこまで無事に生き残れば、後は大丈夫と判断できるというわけだ。

 家畜の身になってみれば、体細胞クローン技術は非常にリスクの高いものであることは明白だ。また仮腹を貸すことになる雌牛にっとっても流産・死産に伴い死亡するケースも多くリスクが高いといえる。

 しかしクローン牛を食品として利用する場合のリスクは別だというのが食品安全委員会の理論となっている。

 クローン家畜の肉や乳については、従来の繁殖技術でうまれた家畜のものと比べて栄養成分などに差はなく、ラットなどに動物に食べさせた実験でも、差がないということで安全だと判断されているのだ。

 また、死亡率が高い生後200日までの子牛は食用に適さないと判断しているかというとそうでもない。そもそも普通の繁殖法で生まれた牛であってもトチク段階の検査で、病気の牛は食肉に回らないように処理される仕組みになっている。クローン牛で異常が多くても、トチク検査で異常が分かればはじかれるので、食肉には回ることはないという理屈だ。

市場化進めるアメリカ、慎重なEU 
海外での動きはどうなのだろうか?

続きを読む "クローン家畜は食品として安全か?" »

2008年06月19日

インチキのガン治療製品、FDAが販売中止を警告 アメリカ

鮫の軟骨、アガリクス、レイシ、ハーブティーなどなど。

ガンに効くといって販売している23社に対して、FDAが警告書を発行した。

「これらの商品のクレームは、承認されたものではなく、信頼できるものでもない。中には安全性に問題のあるものも含まれている」FDA執行局長のデヴィッド・エルダー氏は言う。

「消費者が、インターネットでそれらの商品を信用して購入して、より安全で効果的であることが確認されている治療の代わりに、を懸念するとFDAの新薬表示課長のマイケル・レヴィ氏。

これらの商品でサプリなどは、ガンなどへの効果の表示を無くしさえすれば、ダイエタリーサプリメントとして販売を続けることはできる。皮膚がんを防ぐクリームなどのような商品は、消え去ることになるだろう。

この動きは、FDAの違法表示キャンペーンの一環。昨年は糖尿病治療効果をうたった30社に対して警告書を発行。2件の商品差し押さえ、1件の刑事告発になった。2年間のターゲットはダイエット商品だった。

出典はここhttp://www.fda.gov/cder/news/fakecancercures.htm
国立医薬品食品衛生研究所の食品安全情報 No. 13(2008. 06.18)P28にも記事が掲載

2008年05月20日

メタボ対策商品ほんとに効くのはどれ① 「ナイシトール(漢方薬 防風通聖散)」編

 メタボリックシンドロームの検診が始まり、おなかの脂肪を減らすという商品が氾濫している。医薬品として販売されているなかでも大ヒットといわれるのが小林製薬の「ナイシトール85」。医薬品だけに、花王のヘルシアやエコナなどのような健康食品より効果はしっかりしているはずだ。しかし取材してみたところ、小林製薬の消費者対応は、花王以下のひどいもので、薬も効き目も企業独自では確認していないことが判明した。

薬品業界・健康食品業界が終結するメタボ撲滅キャンペーン
ナイシトールの効果を小林製薬へ聞いてみた
「データはあるが、社の方針で出せない」
「そもそもヤセ薬ではない」
横で指示するだけで、絶対電話に出ようとしない姑息な上司
しぶしぶ出してきた証拠の中身は、3倍量

薬品業界・健康食品業界が終結するメタボ撲滅キャンペーン

 今年の4月から「メタボ検診」(特定検診・特定保健指導)が始まった。40歳~74歳を対象に、定期健診で、内臓脂肪型肥満で高血圧、高血糖などの症状(いわゆるメタボリックシンドローム)の人を見つけ出す。早めに保健指導することで糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞など予防するという試みだ。生活習慣病をあらかじめ予防することで、2025年には医療給付を2兆円節約できるというのが厚生労働省の目論見だ。

 一方で、「ちょっと小太りの方が実は長生き」「なぜ女性の方が数字が甘いのか」、「将来の医療費削減のためにと言っているが、メタボ指導を始めたら、現在の医療費増で財政がパンクしてしまう」など、メタボ検診への疑問点もささやかれている。
医薬品業界、健康食品業界は、一大市場に期待をかけ、メタボリックシンドローム撲滅キャンペーン(http://metabolic-syndrome.net/)を結成している。

医者の処方が必要な保険対象の医療用医薬品の場合、処方量が増えれば医療費削減にはつながらないという矛盾がある。一方、薬局で誰でも変える一般用医薬品(OTC薬ともいう)やサプリメントは、健康保険の対象ではない。消費者の財布の負担は増えるが、国の医療費の削減にはつながるわけだ。

筆者は、これまでも花王のエコナ、ヘルシアなどをはじめとしたメタボ対策商品について、独自の検証を行ってきた。

 消費者が自分で選んで購入すべきものだけに、ほんとに効果があるのか、また安全性はどれだけ確認されているのか?などの情報開示がとても大事だからだ。

 健康食品にだけ文句を言っていると思われたのか、さる健康食品業界の人から、「そんなことをいったら、医薬品だって結構いいかげんなものがあるのに」という批判めいた告げ口をされた。

 そこで、サプリだけでなく医薬品についても調べてみようと思った次第だ。 

ナイシトールの効果を小林製薬へ聞いてみた(小見出し)

メタボ対策医薬品の一番人気は、なんといっても小林製薬の「ナイシトール85」だろう。おじさんのぽっこり出たお腹を輪切りにすると内臓脂肪がびっしり、「ナイシトール」でそれが見る見る減っていくというCMで有名だ。(写真またはビデオ)

産経新聞によると、2006年3月に発売開始され、06年度で35億円、07年度には50億円余と大ヒット商品となったものだ。

中身は、昔からある一般的な漢方薬で「防風通聖散(ボウフウツウショウサン)」という。

ただ、おもしろいことにこの「ナイシトール」、CMや新聞の広告では盛んに中年親父の内臓脂肪を減らすぞと宣伝しているものの、薬の効能書きを見ると、内臓脂肪とは一言も書いていない。
効能書きはこうだ
 「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の症状:肥満症、高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、便秘、むくみ」

 「肥満症」って書いてあるじゃないかと思われるかもしれないが、最初に皮下脂肪と書いてあるのを見過ごすわけにはいかない。メタボは別名内臓脂肪症候群といわれるようにで皮下脂肪を内臓脂肪を区別している。特に問題なのは内臓脂肪だといわれている。皮下脂肪を落とすだけでは意味がないのだ。

 また効能書きには「高血圧の随伴症状」と書いてあるのに、添付文書では服用前に「高血圧」の人は医者に相談しろと書いてある。高血圧の人は悩んでしまうだろう。

 その効能書きの一字一句は、1975年に厚生省が定めたものだ。古代から伝わる漢方薬の書誌の記述を元に210種類の漢方薬について定められたものの一つなのだ。だからナイシトール独自のものではなくて、「防風通聖散」を使っている他社の医薬品にもまったく同じ効能が書いてある。

 古代の書誌の時代にも、また75年当時にもメタボなんていう概念があったわけはなく、また内臓脂肪も皮下脂肪も区別していなかった。

 知り合いの薬剤師の人によると、この防風通聖散という漢方薬は、これまで女性の便秘の薬としてよく処方されたきたものらしい。やせ薬というよりは下剤代わりだったようだ。

 ただ、その中の「肥満症」という効能に目をつけた小林製薬は、独自に「ナイシトール」という名前をつけて、いかにもメタボの内臓脂肪も減らすぞというイメージを加えてさ販売。大ヒットを飛ばしたわけだ。

 そこまでやる以上、当然内臓脂肪を本当に減らすことを確認しているのだろう。果たしてどれくらい効き目があるのか調べようとしたが、小林製薬のホームページのどこを見ても、効果に関する情報がない。花王のエコナやヘルシアなどが、簡単にホームページでアクセスできるのとは対照的だ。

 そこで仕方がないので、直接小林製薬に問い合わせてみた。

 そこでひとつ乗り越えなければならない問題がある。本来理想的なのは、直接商品を開発した部署担当者に回してもらって、論文などの資料を見ながら説明してもらい、質問するというのがベストだ。

 だが、すでに皆さんご存知のことだと思うが、フリーのジャーナリストが取材を依頼しても、広報でチェックされ、会社にとってのメリットがないと判断されるや取材拒否される。ましてや今回のような、商品について批判的に質問してくるような取材などまず受け付けられない。だから、仕方なく商品を購入して、客として「お客様相談室」に問い合わせるわけだ。

植田 ナイシトールを買った者なんですが、どれくらい飲めば、どれくらい内臓脂肪が減るとかいうデータがあれば見せてもらいたいんですけれども

お客様相談室Aさん 「効き目のデータということですか?」

続きを読む "メタボ対策商品ほんとに効くのはどれ① 「ナイシトール(漢方薬 防風通聖散)」編" »

2008年05月14日

メタボに効くと宣伝したら違法だった小林製薬のナイシトール

 メタボ対策漢方薬としてダントツの売上げを誇っている小林製薬の「ナイシトール85」。しかし、内臓脂肪への効果を示すCMは薬事法に抵触する可能性のあることが判明した。同じ成分を使った他社メーカーは「あくまで皮下脂肪への効果」と言って販売している。

 訂正を指導すべき大阪府薬事課は「内臓脂肪への効果を宣伝したら違法」と認めるものの、小林製薬も皮下脂肪の効果しか言っていないと、なぜか弱腰な対応。そもそも「ナイシトール85」という商品名も違法の疑いがでるが、すでに許可を出した厚生労働省は「国が許可を出しのだから問題はない。文句はメーカーへ」という責任回避の発言に終始している。

 小林製薬とロート製薬のCM比較!減るのは内臓脂肪?皮下脂肪?
 ロート製薬「あくまで皮下脂肪への効果と考えてください」
 大阪府薬事課「内臓脂肪を減らすといったら違法だが…」
 小林製薬「内臓脂肪を減らすとは言っていない」
 そもそも商品名「ナイシトール85」の意味は?
 許可した根拠も説明しようとしない厚生労働省
 

小林製薬とロート製薬のCM比較!減るのは内臓脂肪?皮下脂肪?
漢方薬では異例の年間売上高50億円という大ヒット商品となった小林製薬の「ナイシトール85」。メタボ対策として内臓脂肪への効果を全面に打ち出したのが大ヒットの理由だ。

その成分は、小林製薬のオリジナルではなく、昔から使われている「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」という漢方薬である。当然ながら他所のメーカーも同じ漢方薬を使った商品を販売している。その一つが、ロート製薬の「和漢箋・防風通聖散」という商品だ。

 この2社のテレビCMを見比べてもらいたい。

続きを読む "メタボに効くと宣伝したら違法だった小林製薬のナイシトール" »

2007年01月31日

マルチビタミンから高濃度の鉛 米

アメリカのコンシュマーラボという団体が行った調査で、21種類のマルチビタミン剤を検査したところ、半数以上に問題を発見。

最も問題なのは、女性用のマルチビタミン剤で、1日用量あたりについて15.3マイクログラムの鉛を検出。カリフォルニア州の基準の10倍だという。

また、子供用のマルチビタミン剤で、ビタミンAの量がラベルに記載された量の216%含まれていた。これは9歳児の上限値をはるかに超える量になるという。

出典)Scientific American Jan.23 2007

ビタミン剤の必要性に疑問?

心臓病、ガン、骨粗鬆症の予防のためにアメリカ人の52%は、何らかのビタミン剤を摂っているという。ほんとうに効果はあるのだろうか?

以下、ワシントンポスト紙2007年1月16日の記事の要約。

「今、現在ビタミン剤を摂っている人を止めさせる理由は無い。だが、今摂っていない人には、勧める理由も無い」アメリカ国立衛生研究所のダイエタリーサプリメント局のポール・コアテス局長は語る。

有効性に疑問であるばかりでなく、いくつかのビタミンについては、副作用の可能性も指摘されている。

たとえばビタミンA。視力や免疫力の維持に必要だといわれているが、過剰に摂ると骨粗鬆症のリスクが増加する可能性がある。またベータカロチンは体内でビタミンAに変化する物質。ベータカロチンの豊富な果物や野菜を多く摂ると肺ガン予防になるという証拠がある。

しかし喫煙者にベータカロチンのサプリメントを与えたところ、逆に肺ガンのリスクが増大したという話は、有名なところだ。

また葉酸も問題が指摘されているという。葉酸は、特に妊娠初期の胎児の二分脊椎という病気の予防に効果がある。そのためにアメリカ食品医薬品局(FDA)は、1998年から、葉酸を強化した小麦粉やパスタなどを推奨してきている。

しかし最近の研究で、老人には、葉酸の過剰摂取は、貧血のリスクを増し、また認知症などのリスクも上げるという。

出典)ワシントンポスト Jan.16,2007

続きを読む "ビタミン剤の必要性に疑問? " »

2007年01月30日

クローン牛も"オーガニック"?

クローン動物の肉であっても、オーガニックの認証マークを付けられるか?

 昨年12月にアメリカ食品医薬品局(FDA)が、クローン動物の肉と牛乳は、食品として安全だとい報告書を発表した。その後で、クローン動物を、有機基準に沿って飼育した肉が、オーガニックとして認められるか、米国内で議論が紛糾してきている。

 「たとえクローン動物であっても、有機的に飼育されたのならオーガニック食品として認められるべきだ」とバイテク企業関係者は主張。

 一方、科学者や市民団体からの強い反対もある。

 有機食品の定義を決める権限のあるのはアメリカ農務省。その官僚は「今春にも諮問委員会で検討されることになるが、難しいだろう」と予測する。

 反対派は、「遺伝子組み換え植物は有機とは呼べない、クローンも同じだ」と主張。しかし、バイテク企業は「遺伝子組み換えとクローンは別物。クローン動物の遺伝子は組み替えられてはいない」と主張。12月のFDAの安全宣言は、その主張を受け入れたものだ。

他にも反対派は、「そもそも、有機とは、自然のプロセスにしたがって育てたものを意味する。自然との調和のなかで作られたもので、自然を改変したものは有機ではない」と主張。

一方バイテク派は、「自然のプロセスといっても、USDAは、人工授精の動物も有機と認めているではないか」と反論。

その他にも、クローン動物は生物多様性を減少させるという意見もある。

米国の有機食品のルールを決めるUSDAの有機基準委員会の次回会議は3月の予定。

出典)Washingtonpost, Jan.29,2007


続きを読む "クローン牛も"オーガニック"? " »

2007年01月29日

空輸農産物はオーガニックじゃない!?

「飛行機で空輸された農産物は、有機農産物とは言えない」イギリス最大の有機農産物の認証団体「Soil Association」が、有機認証の基準変更を検討していると発表した。

地球温暖化に関連してフードマイルという、農産物の輸送距離によるCO2の排出を懸念したもの。

1月26日に開催されたSoil Associationの年次総会で、「空輸で輸入された有機農産物は、有機とみとめない」という案が提出された。今後1年間かけて議論を行うという。

Soil Association理事長のパトリック・ホールデン氏は、「農産物の輸送距離を短くという世論は、大きくなってきている。我々も真剣に考慮すべきだ」と述べた。

議論は賛否両論あるという。 本来、多くの有機農産物は、近くの地域の小規模農家で生産されていた。しかし有機農産物のブームによって、大企業も市場に参入。輸入品も増えたことへの批判的意見は確かに存在する。

一方、輸送距離だけでなく、農産物の生産にかかるエネルギーも考慮すべきという反論もある。外国でこそ効率的に作れるものは、輸入した方がよいとい意見もある。

また、フェアトレードとの関連も重要という意見もある。途上国の農家が直接先進国の市場にアクセスできる権利を認めるべきということだ。

出典) Guardian Unlimited Jan.26 2007

2006年12月10日

アガリクス 肝臓障害で新論文

ガンに効くというアガリクスで、肝障害・死亡。新たな症例が報告された。

国立がんセンター東病院の向井 医師らによる報告。

ガン患者3名が肝臓障害を起こし、そのうち二人は、劇症肝炎で死亡。

3人ともアガリクスを摂取していた。一人は、アガリクスを辞めたところ、徐々に肝臓機能は回復した。しかし再度アガリクスを摂取しはじめたところ、再度肝臓機能が悪化したという。

向井医師らは、「他の要因も、完全には払拭できないが、アガリクス抽出物と肝臓への障害の間に強固な関連が疑われる」と論文の中で述べている。
また、「アガリクスを含む多くの代替医療について、科学的な臨床試験による評価が必要」と結論付けている
An Alternative Medicine, Agaricus blazei, may have Induced Severe Hepatic Dysfunction in Cancer Patients.
Mukai H, Watanabe T, Ando M, Katsumata N.
Jpn J Clin Oncol. 2006 Nov 14

2006年11月11日

魚の油を含んだ豚肉はヘルシー?

 心臓疾患や認知症の予防に効果があるといわれているオメガ3脂肪酸。人にとっては必須脂肪酸の一種で、魚の油に多く含まれる。スーパーの魚売り場でよく流れている「さかな、さかな、さかな~、頭がよくなる~」という歌で有名なEPA、DHAもオメガ3脂肪酸の一種だ。

虫の遺伝子を豚に組み込む
 このオメガ3脂肪酸を作る線虫の遺伝子をブタに組み込むことで、魚の油を含んだブタを作ることに成功したと、アメリカのピッツバーグ大学の研究チームが「ネイチャーバイオテクノロジー」誌に発表した。

 ただ、この豚肉が直ぐに食卓に出るということはなさそうだ。大豆などの植物と違い、遺伝子組み換え動物の食用利用については、アメリカ食品医薬品局(FDA)も規制を厳しくしている。そのため、当面は、このブタは、オメガ3脂肪酸の健康への影響を調べる実験動物として使われるのだという。

 しかし研究チームの1人ジン・カン博士は「将来的には食品利用の可能性を追求したい。またブタの次には鳥や牛にも挑戦したい」と食用利用への意気込みをのぞかせている。

魚油の効果は本当か?
 ただ、肝心のオメガ3脂肪酸の健康効果について疑問を呈する研究論文が、イギリスのブリティッシュメディカルジャーナルに掲載された。過去の89回におよぶヒトでの試験結果を再評価したもので、心臓病の罹患率や死亡率を、魚油を摂らない人たちと比べたが、明確な差は確認できなかった。

 逆に狭心症患者の場合、オメガ3脂肪酸を多量に摂っている人の方が、発作を起こすリスクが高くなっていた。
 英国心臓病基金のマイク・クナプトン博士は「オメガ3脂肪酸を大量にとるよりも、タバコを止めたり、適度な運動をしたり、飽和脂肪酸の少ない食品を取るといったほうがよほど心臓病予防には確実だ」といっている。

遺伝子組み換えで新アレルギー物質!

 インゲン豆の遺伝子をえんどう豆に組み込んだところ、無害だったタンパク質がアレルギーを起こすものに変質したという報告が発表された。
 種の壁を越えて遺伝子を組み替えることによる新たなリスクが明らかになった。


遺伝子組み換えで、無害なタンパク質がアレルゲンに
 この遺伝子組み換えインゲン豆を進めていたのはオーストラリアの英連邦科学産業研究機関。オーストラリアでは毎年栽培されるえんどう豆の30%がゾウムシの被害にあっている。一方インゲン豆には被害が起きない。糖分の消化酵素の働きを阻害するタンパク質を作っているからだ。ゾウムシがインゲン豆を食べても栄養を消化吸収することができず餓死する。その殺虫タンパク質を作る遺伝子をえんどう豆にも組み込もうというのが開発の狙いだった。

 フィールドテストの結果では、組み換ええんどう豆の99.5%に、有効性が確認された。
 安全性についても、そもそもインゲン豆に含まれるたんぱく質はヒトはマウスに対して無害であることが証明されていた。
 しかし遺伝子を組み替えたえんどう豆をマウスに与えたところ、アレルギー反応が現れてしまった。またいったんアレルギー反応が出たマウスは、卵白など他の食べ物に対してもアレルギー反応も引き起こした。

 遺伝子は同じでも、別の種類の生物に組み込んだ場合、タンパク質を作る過程で思わぬ毒性を持ったものができるかもしれないということだ。
 両方のタンパク質を詳しく調べてみると、構造に微妙な違いが見つかった。
 オーストラリアの英連邦科学産業研究機関は、開発の断念を決定した。