テレビの電磁波でオタマジャクシの成長に遅れが
昔の記事の転載です。2003年に書いたものです。
テレビの近くにオタマジャクシの水槽を置くと成長が遅れ、なかなかカエルになりません。
小、中学生の子どもたちへの電磁波の影響を想定した動物実験とも言えるものです。
カエルになる日が5日遅れる
鶏の卵に電磁波を浴びせると、ひなの死亡率や奇形の発生率が増加します(注1)。胎児期の急速な成長過程では、電磁波や化学物質など外部刺激の影響は決定的になりがちです。
では、ある程度成長した子どもの場合ならどうなのか。疫学調査では送電線近くの子どもたちに小児白血病が増加という報告がありますが、そのような子どもを想定した動物実験はまれです。
イタリアの国立科学研究会(CNR)のマウリツィオ・セヴェリーニ博士たちが、テレビから出る電磁波で、オタマジャクシの成長速度が変化し、カエルに変態する時期が遅れるという研究を発表しました。
アフリカツメガエルのオタマジャクシ110匹を入れた水槽をテレビから5cmの距離に設置。オタマジャクシがカエルに変態する日まで(40日程度)、一日8時間テレビをつけて電磁波を浴びせ続けました。
電磁波(この場合は磁場)以外の影響を除外するために、水の温度は一定にし、テレビと水槽の間にはアースしたアルミ製のシートを置き、光や電場は低減。水槽内での磁場の強さは、テレビに近い部分で250ミリガウス、反対側で40ミリガウス程度でした。
実験の結果は、テレビから2m離した水槽のオタマジャクシと比較して、電磁波を浴びたグループは、カエルになる時期が平均して5日遅れるという変化が観察されました。同様の実験を、遺伝子の違うオタマジャクシに変えて3回行いましたが、いずれの場合も5日間ほどの遅れが再現されました。
小学、中学生への影響を示唆!?
今回の実験の意図は、ある程度進んだ成長過程への影響を明らかにしようとしている点にあります。死亡や奇形などの深刻な影響を避けるために、あえて卵の時期を避けて、孵化後3日目から電磁波を浴びせたとセヴェリーニ博士は言います。
オタマジャクシと人間を簡単に比較することは無理ですが、カエルになる前のオタマジャクシは、いわば大人になり切れていないヒヨッコ。思春期を終えていない子どもたちと比べることができるかもしれません。
テレビより危険なIH調理器
テレビは2種類の周波数の電磁波を出しています。ひとつは送電線や家電製品から出る50Hzの周波数、もうひとつは16kHz当たりの比較的周波数の高い電磁波です。
今回の成長の遅れの原因は、どちらの電磁波の影響なのか、それとも両方の相互作用か、今回の実験では不明です。16kHz周辺の電磁波は普通の電気製品からは出ていませんが、IH調理器からはテレビ以上の強さで出ています。
注1拙著「危ない電磁波から身を守る本」コモンズ刊47ページ。
出典:Severini M.et al.,“Sublethal effect of a weak intermittent magnetic field on the development of Xenopus laevis(Daudin) tadpoles”,International Journal of Biometheorology,2003 Aug. 6