無線LANの電磁波について、2006年12月11日イギリス・タイムズ紙の記事の要約です。
以下記事要約
無線LANをはじめとするワイアレスネットワークの安全性について、海外で懸念の声が上がっている。
学校、事務所、公共機関などで、無線LANネットワークの設置が増えている。近い将来には、街全体がホットスポットになり、どこにいてもインターネットに接続できる環境になる可能性がある。
現在安全と考えられているレベルよりはるかに弱い電波であるが、健康被害の可能性を憂慮する声が徐々に増大してきている。
保護者からの要請により、ワイアレスネットワークを撤去する学校が増えている。オーストリアのザルツブルグ市では、市の衛生局が、学校や幼稚園では、無線LANやコードレス電話を使用しないように勧告している。
カナダでは、オンタリオにある、レイクヘッド大学は、構内の無線LANをすべて撤去した。副学長のフレッド・ギルバート博士は「体の組織や細胞への生理学的影響、行動障害の可能性を無視できない」と指摘する。
今年9月には、世界中の30人の科学者たちが「現在我々が浴びている電磁波の有害性を示唆する科学的証拠について、完全に中立な立場からの再評価を求める決議に署名した。
アイルランド環境医士会(IDEA)も、政府に対して電磁波の健康影響についての評価を求める声明を発表している。
ロンドン南部のメルトン市議のデイビッド・ディーン氏は、自分自身生きるアンテナのようだという。「無線LANを設置しているかどうか、家に入っただけで分かる。頭のなかで音がし始める」
「前の職場では、無線LANが設置され10分以上耐えられなかった。上司に相談したが、撤去はされず自分が辞めるしかなかった。心臓の鼓動は速くなり,物が二重に見え始め,ひどい頭痛が起こる。頭をアームロックで締め付けられる感じだ」
「また、小さな子どもが狂ったように泣き喚く家を訪問したこともある。両親に2日間無線LANを止めるように言ったら、こどもの様子が変わったというケースも2回ほど経験している」
「無線LANの電磁波は、携帯電話中継基地局からの電磁波ととても似ている」とイギリスの団体パワーウォッチの代表アラスダイル・フィリップ氏は言う。
「携帯電話中継基地局からの電磁波については、健康影響を指摘する研究が存在する。ラトビアでの研究では966人の子どもで、行動や記憶、注意力の低下が確認されている。影響がでる曝露のレベルは、無線LANのある教室で子どもが浴びるのと同じレベルだ」
イギリス政府の健康保護庁(HPA)のマイケル・クラーク博士は、「我々の測定では、学校での無線LANによる曝露は、国際ガイドラインの20万分の1に過ぎない。携帯電話の場合は50分の1にもなる。だから、無線LANのある教室に1年間い続けると、携帯電話を20分使い続けるのとが同じ位の曝露になる計算だ。もし無線LANを撤去すべきだとなると、携帯電話の中継基地局も、FMラジオもテレビ局も撤去すべきということになる。電磁波のレベルは同じくらいだからだ。
フィリップ氏は、反論する。「現在のガイドラインは、短期的な熱効果による影響しか見ていない。微弱な電磁波を長期間浴び続けることによる影響は見ていないのだ。我々は、電磁波の信号が、人体の中の電気信号や化学物質による情報伝達システムに干渉するのではないかと思っている。
判断の難しいところは、必ずしも全ての人が同じように電磁波の影響を受けるとは言いがたいことだ。
アイルランド環境医師会のエリザベス・カレン医師は、「全体の人口のなかのある特定のグループが、特に電磁波の影響を受け易いのだろうことを示唆する研究がふえてきている。
人口の5%程度は、このような高い感受性を持っていると考えられる。スウェーデンでは障害と認められている。
現在、エセックス大学で、過敏症との自覚のある人と普通の人を対象に、携帯電話中継基地局からの電磁波を浴びせた場合と浴びせない場合での集中力や記憶力の変化を比較するテストが実施中。
出典)Times online 2006 12/11